2017年8月28日月曜日

真鍋版クリスティー

 本好きにとって、転居などでやむなく本を処分せざるを得ない時に、何を残すかの評価基準はいろいろあると思います。私は、いつかまた読みたくなるor資料として必要になりそうな本のうち、手放したらもう二度と入手できなさそうな本はなんとしても残します。逆に、いくら良い本でも、絶対に絶版になる筈がない、電子化などの形ででも再入手できそうな本は気軽に手放せます(読みが外れて後悔することもあります)。5年前の引越しのときは、『グイン・サーガ』も2冊を残してブックオフ行きでした。

 だがしかし。
 何度も版を重ねているベストセラーと言えども、いつまでもそのままの形で手に入るわけではないのです…。
 当時新設されたばかりだった中学校の、まだあまり充実してはいなかった図書室で私の目を引いた赤い背表紙の一揃い。手に取ると、はっとするような美麗なものから、12の小娘の美的感覚には難しすぎた斬新なものまで、色とりどりのイラストに飾られたハヤカワミステリ文庫のアガサ・クリスティー作品の数々。最初は借りて読んでいましたが、徐々にお小遣いの許す限り、さらには父から「次の定期テストで何位以内だったら3冊!」などと本代をせしめて買い集めたものでした。

 なのに「また買えるからいいや」と安易に手放したクリスティー達は、もはや同じ顔で本屋さんに並んではいなかった。年を重ねて、かつては微妙に感じたものもあった真鍋博氏の表紙イラストの味わいがわかるにつれ後悔しました。

 さてやっと今回の本題。8/25(金)〜8/28(月)、実家に帰省してきました。
 今回のミッションのひとつは納戸に堆く積まれた蔵書や資料やがらくた(?)の整理。祖父や父の蔵書も、ブックオフで売れそうなもの、普通の古書店に向いてそうなもの、処分していいものなどに大雑把に分けることになってます。古本屋さんに出向いてもらうほどの量ではないのですが、やるとなると結構大変です…

 まずは自分の本棚から…と思ったら、開けてびっくり玉手箱!とうに処分されたと思っていた本達がごっそり残っているではないですか!そう、あの赤背表紙達も。他のジャンルのものも、手元に残せないものも残らず写真に収めてきました。


『もの言えぬ証人』下のオレンジ色の物体は被害者が飼っていた白いテリアです。証人とはこの子のこと。


『死が最後にやってくる』古代エジプトが舞台の異色作。考証をしてくれた、考古学者である夫マローワンの友人と一悶着あったとか。



『五匹の子豚』初めて購入したのは確かこれです。二十年近く前に解決し、既に犯人も獄中死している事件の、五人の容疑者。



『ビッグ4』エルキュール(ヘラクレス)ポアロには実は兄がいた、その名もアシル(アキレス)!…ポアロものには珍しくスパイものです。


『蒼ざめた馬』読んでいる最中怖くて怖くて、もう事件が解決するまで=読み終わるまで震えてました。


ミス・マープルといえば編み物。



クリスティーの戯曲の代表作『ねずみとり』。『検察側の証人』の幕引きも印象的でした。




ポアロといえば口髭。




トミー&タペンスものの最後の作品『運命の裏木戸』。最初の話である『秘密機関』の方が日本語訳は遅かったので、出た時は小躍りしました。



 ポアロは長編、ミス・マープルは短編のイメージが強いですが、こちらはポアロのオムニバス短編集『ヘラクレスの冒険』。




そしてミス・マープルの長編『カリブ海の秘密』は、『復讐の女神』に繋がるお話です。

 実はこれらの他にも、どうしても手放せずに引越しのたびに持ち歩いた厳選12冊と、復刻版『そして誰もいなくなった』がありますが今日はここまで。

そして、懐かしいマンガやゲーム関連本についてはまた日を改めてご紹介したいと思います。

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