2015年1月15日木曜日

レイストリンの香り

一時期アロマにもはまっていまして、自分で好きな香りを調合しては
オーデコロンを作ったり、ボディソープに香りを付けたりしていました。
しかし引っ越しを機に、古くなったオイルや道具類を処分し
しばらく縁遠くなっていたある日のことです。

それは、出先でふらりと立ち寄ったアロマショップ「生活の木」にありました。


「ブレンドエッセンシャルオイル
ホームズのインテリジェンスローズマリー」

シャーロック・ホームズをイメージした香りですって!
買って嗅いで見ると、ローズマリーをベースにやや柑橘系の入った、
いかにも頭がすっきりしそうな香りでした。

こんな感じで、好きな小説の登場人物の香りを作ったら楽しそう。
まっさきに思いついたのは、昨年、約二十年ぶりに再読し
燃えあがっている「ドラゴンランス」シリーズの真の主役、
魔導士レイストリン・マジェーレ。

かれの香りというと、こんな描写があります。
 と、体がぬくもりに包まれるのを感じた。黒ローブの柔らかな天鵞絨が剥き出しの腕に触れた。香辛料と薔薇の花びらの甘い香りがした。それからかすかに鼻につく腐敗の匂い――こうもりの翼か、もしかしたら何かの動物の頭骨か――魔法使いたちが呪文をかけるときに用いる不可思議な品々の匂い。
(ドラゴンランス伝説2巻 イスタルの神官王」より)
という訳で、メインは薔薇にいたしましょう。最寄りのお店の店員さんに
「フレッシュでない、乾燥した薔薇の花びらの香りを」と相談し、
いろいろサンプルを嗅がせてもらって決めたのはダマスクローズ(モロッコ産)。
生々しくない、甘く――酔わされる香りです。


そしてレイストリンと香料と言えば、忘れられないあのシーン。この時、深刻な対立関係にあったはずの、双子の兄キャラモンとの会話。
「おれが言ってるもののこと、覚えてるか?おまえが呪文をかけるときに使うやつだ。あれはシチューをおいしく作るのにも使えたもんだ!なんて言ったっけ……おれたちの名字に似てた――マージェレ、マージョリーかな?はは!」 
「マージョラムだよ」
「その香料はマージョラムというんだ……」

(「ドラゴンランス伝説3巻 黒ローブの老魔術師」より)
スパイスとして、鶏肉のハーブソテーを作るのによく使ってます。エッセンシャルオイルはスパイスそのものよりもきつい、やや辛辣な香りがしました。


以上二つは確定としまして、あともう一種類くらい欲しい。
ツイッターで、香りに詳しそうな方にお伺いしましたところ
(RTやお気に入りの傾向で、てっきりドラゴンランスお読みになってるものと誤解してましたが実は未読で、わざわざレイストリンについて調べて答えてくださったそうです!感謝しております)

「何か『影』を感じさせるようなイメージの香りを足したらいいのでは」

とのご助言を頂いて思いつきました。
セントジョンズワート、和名「西洋弟切草」。
ウィキペディアによると、弟切草には薬の秘密を洩らした弟が兄に殺されたという逸話があるそうです。ぴったりではないですか、兄弟の愛憎の香り。

英名は、聖ヨハネの祭日(6月24日)に収穫されることによるんだとか。
「日本語ではotogiriso、brotherslayer's wortって言うんですよ〜」
などと英語圏の人に紹介してみたい気がしますが
「だったらCain's wortって呼べばいいんじゃない?」なんてことになりそうです。

ハーブティーとして飲んだことがありますが、笹のような香りがしました。
エッセンシャルオイルは濃縮した笹の香りに、かすかな苦み。いい感じです。


セントジョンズワートは在庫がなくてお取り寄せ。
入荷の連絡を受け、試験紙やミニビーカーと一緒に買ってきました。




















調合した香りを試す試験紙(ムエット)のデザインも素敵です。


香りに酔いそうになりながら、ああでもないこうでもないと試行錯誤。
原液、二つずつ混ぜた場合、三種混合、混ぜた直後と少し経過してからの香り。

結局、ローズ4:マージョラム2:セントジョンズワート3

くらいのバランスで落ち着き、エタノールと精製水を加えて
オーデコロンにしました。
使えるのはしばらく寝かせてからです。
どんな香りに仕上がっているでしょう。

いろいろ相談に乗ってもらった店員さんに
「できあがったらぜひ嗅がせてくださいね」
と言われているのですが、さてイメージしたキャラってどんな人?
と聞かれたときの答えも用意しておかねばなりませんね。

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