2015年1月27日火曜日

三角関係

 成田美名子氏の能楽師漫画「花よりも花の如く」の13巻を読んでいたら、こんな言葉がありました。

「ドラマの参考にしたいので、いい三角関係知りませんか?」

 能楽師なのでいろいろと能の演目が紹介されるんですが、続いて「アンナ・カレーニナ」「ブラームスはお好き」「こころ」「この三つのもの」「突然炎のごとく」「ライアンの娘」等々が挙げられてました。自分も今そういうものを書いているので(二次創作ですが)参考にしようかな。「こころ」は読んだものの、あまり好きになれなかったのですよね。

 ああ、大好きで印象に残っている、壮絶な三角関係と言ったら「この世の彼方の海」のサクシフ・ダンとグラティシャとカロラーク皇子がありました。このブログでも紹介しております。

→エントリ「愛の言葉十撰」
http://katyofugetsu.blogspot.jp/2014/09/blog-post_23.html

 しかし一般的な三角関係ものが何故好ましく感じられなかったのか。そんなの、頂点に立つ一人がさっさとはっきりしないのが悪いんじゃないの!といつものごとくばっさりと切り捨てていた故であります(汗)。一人の女を巡って二人の男が相争う、という構図にも、いい加減にせいと言いたくなってしまう。若かった、青かったなあ自分。

 こんなことがありました。働いていた頃、フィールドワークの最中に、スジグロシロチョウ(?)の雌の前で、二匹の雄が体当たりしあっているのを目の当たりにしました。あの軽い蝶の体と翅が、ぱしぱしと音を立てるほどの激しいぶつかりあいでした。我関せず、という様子の雌。戦いながらも、なんとかその視界に入ろうとする雄たち。あーあ、雄は大変ですねえ。などと思いながら調査を終えて同僚と合流し、帰りの車中でその話をしたところ。

 年上で、年齢のせいばかりでなく私より遥かにしっかりしていて、同性の目から見ても素敵な女性で、恋愛経験も豊富であろう(後にそうでもないことがわかったのですが)先輩二人が、ため息をついて
「素敵ー」
「浪漫だわー」
 などと悶えたのには驚きました。

「ええ?何言ってるんですかお二人とも。人間だったら、そんなの浪漫でも何でもなく、勝手な男の世界にすぎなくありません?女の意思を無視してますよ」
 きょとんとする二人。

「Aさんはそれでもいいかも知れませんよ、逞しいタイプがお好きですから。でもBさんは美少年がお好きなんでしょう?どうするんですか、美少年を打ち負かしたムキムキのお兄さんが『これでおまえは俺のものだー』とか言って迫ってきたら!」
 車内爆笑。運転していた唯一の男性は賢明にも何も言いませんでした。

***

 今書いてる二次創作というのがですね。原典では、幼なじみの清らかな娘さんに愛されながら、再会した元彼女の魅力に抗えず溺れてしまう男の話なんですよ。ええ、初読時にはただもう不潔としか思われませんでした。でも今の自分ならわからなくもないかなー、よしいっそ性別逆転して、流されるヒロインの立場で書いてみよう。

 しかし甘かった。この構図は、「清らかな娘さん」vs「妖艶なお姉様」だから成り立つものだったんですね。逆転して「世間知らずの坊々」vs「強い大人の男」にしちゃうと、もう全然勝負になりゃしない。もちろん坊々も成長して立派な男性に育ってはいくんですけどねー。ヒロインに自分を投影しちゃうと、どう頑張っても元彼の方に流されるのは確定的に明らか。気を抜くと当て馬に成り下がってしまう坊々を、なんとか救済しなくては。

 という訳で、原典を読み込む一方で、このシチュエーションの参考になりそうな三角関係ものを探しております。何かいいものないでしょうかね〜。

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