2015年9月15日火曜日

大人の深読み

旅行記もいよいよ終盤、9月7〜8日の軽井沢行きの話です。
そもそも何故この時期に軽井沢に行きたいと言い出したのか。
これです。

http://ehon-museum.org/exhibition/

大好きなピーターラビットの世界のモデルとなった写真展もさることながら、7月から10月4日までの後期は、とりわけお気に入りの「グロースターの仕立て屋」特集ですよ。「小人と靴屋さん」の物語の「ねずみと仕立て屋さん」版とでもいうべき微笑ましいお話で、描かれているねずみたちは可愛く、マザー・グースを歌いながら針仕事に勤しむ様がもうたまらないのです。

展示室には写真を混えた作者ビアトリクス・ポターの人物像から、各絵本を描いた経緯、初版から現在の版に至るまでの変遷や、貴重な私家版など。
現在、福音館書店から発行されている日本語版には収録されていないイラストもあり、英国版では復刻されているそうです。それは買わずにいられようか。

これがその省かれたイラストの一つです。

「おとうさんは、あそこで事故にあって、マクレガーさんのおくさんに肉のパイにされてしまったんです。」

さらに続く展示室では、「大人の深読み」と題して、背景や脇役を巧みに使って仔うさぎピーターの心境を巧みに描写していることが指摘されます。
お母さんの言いつけを破ったピーターを睨み付けたり、その後も何度も登場するコマドリは、お母さんの代弁を担っているのだとか。

また、ピーター一家や、いとこのベンジャミン達の系図もありました。
ピーターのおじさんのベンジャミン・バニー氏は、お母さんのお兄さんにあたるのだそうです。
その系図の、お母さんの隣、ピーターたちのお父さんの位置には…
(写真でお見せできないのが残念です)
立派な雄うさぎでもなく。
故人を表すマークでも、花でもなく。

この「肉のパイ」が描かれていました。

…おとうさん…。
おとうさあああああん!!

これ、絶対英国人の仕事ですよね…日本人のセンスじゃないですよね…
…ううん、知らないけどきっとそう…

ショックを振り払えないまま「グロースターの仕立て屋」へ。

グロースターといえば、リチャード3世は即位前はグロースター公爵。
そして「リア王」にもグロースター伯爵が登場することもあり、関心のある街です。
なんと英語版の冒頭には「リチャード3世」の台詞が引用されていました。

訳を探そうと思ったら、先日の地震で発生した書籍流の被害で、新潮版も白水版も埋もれておりますリチャード三世;;見つかったら訳上げときます。

続きはまた明日に回しまして、こちらが宿泊したホテルです。

ロビーです。

さりげない小物。


階段から玄関。

スイートのお部屋です。

窓から見たお庭。

もうここまでで既に目がくらんでしまいましたが、続けて食事したレストラン。

そしてエントランス。

テーブル4席、完全予約制の静かなお店でした。
お料理も美しく、もちろん味も美味しかったんですがさすがに撮影は憚られました。
ワインよりも、ノンアルコールワイン、つまりは葡萄ジュースが充実しているのが印象的でした。頼みませんでしたが、おそらく甘すぎず、お酒が飲めない方にも料理とのマリアージュを楽しんでもらえるような味わいなんだろうなと想像します。

楽しめる人にはより深く、楽しめない人にもそれなりに。
こういう、文化面でのバリアフリーがもっと進んで欲しいものです。

文学散歩はまた明日!

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