2015年12月19日土曜日

『スター・ウォーズ』を一度も見たことのない人のEPISODE7感想

言うまでもありませんが、ネタバレ全開ですよー。


はい、まずはタイトルの通りです。正確には、第一作がTV放送された時にさわりだけ観たんですが、主人公の養い親が殺され、白骨死体が出てきたところで怖がってそこまでだったんです(何歳だったんだろう自分?)
でもこれだけの有名作品ですから、主人公や重要キャラの名前と関係、役どころ、大事な設定(フォースとかジェダイとか)はなんとなく知っております。新作ということで、例によって旦那に誘われ、一度は断ったもののなんとなく気が向いて観に行ってみました。あえて予習全くなしで。

劇場と言えばまずは予告編から。印象に残った三編。

・『オデッセイ』は『インターステラー』とどう違うというのだろうか。
・なぜぬいぐるみのクマが主役の映画に『ミッション:インポッシブル』のテーマが流れるのか。
・唯一観てみたいと思ったのは『ブリッジオブザスパイ』。ソ連も冷戦もベルリンの壁も、もう物語の中で語られる言葉なんだろうか。いや違う、当時からすでに物語でした。ボタンの押し間違い一つで、明日にも人類が滅びてしまうかもしれないと多くの人が思っていた時代、それを物語化することで自分の現実との距離をおいていたのかも知れません。

前置きが長くなりました。
なんで当日に予約取れたのかと思ったら、日本語音声吹き替え版だったんですね(旦那は始まるまで気づかなかったらしいです)。元々の俳優さんの声に馴染んでいる人には違和感があったかも知れませんが、私は無問題でした。ちゃんと顔の与えるイメージ通りの声と話し方だったと思います。

序盤、キャラやメカが出てくる度に、これらがシリーズお馴染みのものなのか、それとも新しい存在なのかと思案していましたが、考えたって分かるわけないので気にしないことにしました。
そう、私はこの世界の一般市民。フォースなる謎の力の存在や、英雄達の名前を聞き知ってはいても、それら彼らの真実を何も知らないモブ。それがだんだん話が進んでいって…えっ貴方があのハン・ソロさんですか。ああっこちらはレイア姫ですね?!といった感じで入っていけました。

宇宙船とか戦闘の模様とかは、想像以上の突っ込みどころ満載で愉快でした。

何年も放置されてた船がいきなり大気圏外まで飛び立てちゃうとか
初めて銃を撃つ女の子が戦闘訓練を受けた兵士をばたばた倒せちゃうとか
ポーはあの状態でどうやって生きてたのよとか

これらを気にすることなく楽しめる、というより気にさせない、それが『スター・ウォーズ』なんでしょう、と納得できました。はい。

そういえば予告編に『ゴジラ』もありましたけど
「あんな巨大爬虫類が二足歩行できるわけがあるかい!」
「あれは爬虫類じゃない、『ゴジラ』なんだ!」
で解決できるほどの存在感が『ゴジラ』にはありますし。

昔、映画『ファイナルファンタジー』を酷評した際に、その少し前に出た『マトリックス』と比較したことがありました。両作品とも「生命エネルギー」なんていう似非概念を持ってくるところが共通してます。しかし『マトリックス』では、その言葉が出るまでに、観客は主人公ネオと一緒にあんな目やこんな目に遭わされ、疲労困憊し精魂尽き果て、「頼むから何がどうなってるのか説明してくれえぇ!」な状態、どんな説明でも受け入れる精神状態に持っていかれています。
一方『ファイナルファンタジー』にはそれがなく、「なんか嘘臭い」という印象のまま終わってしまったのだなあと。

結局物語とは虚構です。心地よく騙してくれればそれでいいのです。自分も精進しなくては。

さて後半、あの黒マスクの祖父が誰かくらいはわかっていましたが、なるほど母の父だったのね、とかいろいろ一人答え合わせをしつつ進みます。そうなると、あれだけ強いフォースを持つ彼女は彼の娘なんだよね、きっとそうだよね?

レイア姫とハン・ソロってそういう関係だったとは知りませんでした。人生すれ違いだらけだった高年齢カップル…『大奥』の綱吉編がちらりと脳裏に。

そ・し・て大好物の闇堕ち君、ファーストオーダー!ちょっと脆すぎと感じましたが、きっとまだとても若いのでしょうね。それにしても、お父さんとの対決で簡単に絆されすぎじゃないの?と脳内ブーイングしていたら…そう来ましたか!そうでなくっちゃ、いいぞもっとやれ!最後の対決も、前座はもっとあっさり余裕で片付けて欲しかったです。
とにかく彼の今後に大いに期待!!

大型メカとか、銃での撃ち合いにはあまり関心ないですが、戦闘機およびチャンバラには燃えます。これもシリーズお約束なんですよね、ライトセイバーでの斬り合い!堪能しました。敵方は赤で主人公側は青って決まってるんでしょうか、あの色。

で、ラスト。娘なんでしょうそうでしょきっとそうだよねと(脳内で)叫んでいましたが明らかではないですね。これも今後に期待かと。

フィンの容体について旦那と意見が分かれました。彼女の言葉と雰囲気といい、背後で流れる脳波計?か何かの音のフラットなことといい、植物状態に陥って回復は絶望的なんではないかと私は思います。入れ替わるように、ロボット君がスリープ状態から目覚めるのも暗示的です。物語ですから、もちろんいつか目覚めるんでしょうけれど。

という訳で大変面白かったので、いずれEPISODE1〜6も借りて観ようと思います。今はブームで混んでると思うのでおいおいに。キングオブ闇堕ち、というか元祖オブ闇堕ち、の4〜6に惹かれるんですが、先に観ちゃうと1〜3を観る気を失くしそうなので、順番通りにしておきます。メインディッシュやデザートは後半に持ってくるのが、コース料理のお約束ですしね。

2015年9月16日水曜日

雨の森は扉を開く

旅行記最終回、軽井沢後編です。

8月22−24日 北海道帰省前半
8月25−27日 北海道帰省後半
8月29日 SF大会米魂雑感(前半)
8月30日 SF大会米魂雑感(後半)
9月2−5日 仙台帰省とガチャガチャ
9月7日 軽井沢前編


さて、前回報告しました絵本の森美術館は「ムーゼの森」という施設の一つで
ナチュラルガーデン(ピクチャレスクガーデン)の中に
「エルツおもちゃ博物館」と一緒に配置されています。




観光パンフにはたいてい晴天時の写真しか載っていませんから、雨だれの中の景色を見られたのは幸運かもしれません。ゆっくり散策できなかったのは残念ですが、また来ればいいのですし。

それから、道路向かいの軽井沢高原文庫(軽井沢タリアセン)へ。
本館の企画は「室生犀星」。
修学旅行らしい女子の一団ががやがやと通り過ぎていきます。
一人が「イケメン」と評していた写真を見てみると、
1924年(37〜38才)の萩原朔太郎でした。
なかなかいい趣味だ。

庭の奥に保存されている「堀辰雄1412番山荘」ではこんな企画が。
暗くしめやかに佇む山荘。
嗅ぎ慣れた、昆虫標本用の防虫・防腐剤の匂い。
しかしそこにずらりと並ぶのは、私が慣れ親しんだ小型で地味な農業害虫とは違い、
大型で艶やかな蝶や甲虫たち。かの有名なヘラクレスオオカブトムシを始め、神話や伝説に由来する学名を持つものたちの饗宴です。

実を言うと、蟲屋でありながら鱗翅目昆虫の成虫は苦手です。
翅の鱗粉が嫌だから、という理由もありますが、大型の蝶や蛾の翅の持つ妖しさ、禍々しさを引き立てるこの舞台装置に肌が粟立ちました。

ゴリアテとダヴィデ。パリスとヘクトール。月の女神の名を持つ蛾たち。

「神話と現世のクロシングポイント」(ファイブスター物語より)はこんなところにも潜んでいました。
こちらは野上弥生子の書斎。


そして有島武郎の別荘で、最期の場所でもある浄月庵。
有島は引っ越し魔だったそうで、札幌芸術の森にも旧有島邸が保存されています。
ニセコの有島記念館にも行きました。
現存して公開されてる家ってどれだけあるのでしょ。

堀辰雄文学館にも行ってみたかったんですが、市街地にあり駐車場が確保できるか不安だったので今回は見送りました。
上様に、そんなに近代文学が好きなのかと聞かれましたが、そうでもありません。好きなのは、むしろ近代の文学者そのものです。
春日ゆら氏の「先生と僕 夏目漱石を囲む人々」「漱石とわずがたり」とか大好きです。

それから千住博美術館へ。

パンフの左上から二番目の「ザ・フォール・ルーム」でいろいろ考え込みました。
水が張られ、滝が描かれているのに動きも音もなく、ただ照明が移り変わっていく空間。
余計なことが洗い流されて、自分が考えたいことだけが静かに浮かび上がってきます。

折に触れては、神とは何か、どうしたら殺せるのか、といったことを考えます。基礎である生物学から、SF小説から、漫画やゲームから、自分が触れて取り込んできたものをいろいろに当てはめながら。

この時ここで思いついたのは、神は殺すことはできても滅ぼすことは難しい、仮にできてもそうしてはならない、農業害虫のようなものかもしれないということでした。害虫は害虫として存在するのではありません。人の営みが、農業が虫を害虫にするのです。それを滅ぼすのは至難の技であり多大なコストや、場合によっては害虫によるものより大きな損失を伴います。

滅ぼすのではなく、コントロールする術を探ること。
私の短い研究生活のテーマそのものです。
もしかしたら、応用が効くのかもしれません。

国費で勉強させてもらいながら、大して社会に還元できないままリタイアした身に、俄然活力が湧いてきました。

天気が良ければ散歩でもしたかったところですが、雨で少々体も冷えてきたので、お昼を食べてショッピングモールを見て回って、ゆるゆると帰途につきました。

たっぷりの贅沢。体は疲れましたが脳はリフレッシュ。
いろいろと考えること、学びたいことをどっさり収穫した夏の終わりでした。

2015年9月15日火曜日

大人の深読み

旅行記もいよいよ終盤、9月7〜8日の軽井沢行きの話です。
そもそも何故この時期に軽井沢に行きたいと言い出したのか。
これです。

http://ehon-museum.org/exhibition/

大好きなピーターラビットの世界のモデルとなった写真展もさることながら、7月から10月4日までの後期は、とりわけお気に入りの「グロースターの仕立て屋」特集ですよ。「小人と靴屋さん」の物語の「ねずみと仕立て屋さん」版とでもいうべき微笑ましいお話で、描かれているねずみたちは可愛く、マザー・グースを歌いながら針仕事に勤しむ様がもうたまらないのです。

展示室には写真を混えた作者ビアトリクス・ポターの人物像から、各絵本を描いた経緯、初版から現在の版に至るまでの変遷や、貴重な私家版など。
現在、福音館書店から発行されている日本語版には収録されていないイラストもあり、英国版では復刻されているそうです。それは買わずにいられようか。

これがその省かれたイラストの一つです。

「おとうさんは、あそこで事故にあって、マクレガーさんのおくさんに肉のパイにされてしまったんです。」

さらに続く展示室では、「大人の深読み」と題して、背景や脇役を巧みに使って仔うさぎピーターの心境を巧みに描写していることが指摘されます。
お母さんの言いつけを破ったピーターを睨み付けたり、その後も何度も登場するコマドリは、お母さんの代弁を担っているのだとか。

また、ピーター一家や、いとこのベンジャミン達の系図もありました。
ピーターのおじさんのベンジャミン・バニー氏は、お母さんのお兄さんにあたるのだそうです。
その系図の、お母さんの隣、ピーターたちのお父さんの位置には…
(写真でお見せできないのが残念です)
立派な雄うさぎでもなく。
故人を表すマークでも、花でもなく。

この「肉のパイ」が描かれていました。

…おとうさん…。
おとうさあああああん!!

これ、絶対英国人の仕事ですよね…日本人のセンスじゃないですよね…
…ううん、知らないけどきっとそう…

ショックを振り払えないまま「グロースターの仕立て屋」へ。

グロースターといえば、リチャード3世は即位前はグロースター公爵。
そして「リア王」にもグロースター伯爵が登場することもあり、関心のある街です。
なんと英語版の冒頭には「リチャード3世」の台詞が引用されていました。

訳を探そうと思ったら、先日の地震で発生した書籍流の被害で、新潮版も白水版も埋もれておりますリチャード三世;;見つかったら訳上げときます。

続きはまた明日に回しまして、こちらが宿泊したホテルです。

ロビーです。

さりげない小物。


階段から玄関。

スイートのお部屋です。

窓から見たお庭。

もうここまでで既に目がくらんでしまいましたが、続けて食事したレストラン。

そしてエントランス。

テーブル4席、完全予約制の静かなお店でした。
お料理も美しく、もちろん味も美味しかったんですがさすがに撮影は憚られました。
ワインよりも、ノンアルコールワイン、つまりは葡萄ジュースが充実しているのが印象的でした。頼みませんでしたが、おそらく甘すぎず、お酒が飲めない方にも料理とのマリアージュを楽しんでもらえるような味わいなんだろうなと想像します。

楽しめる人にはより深く、楽しめない人にもそれなりに。
こういう、文化面でのバリアフリーがもっと進んで欲しいものです。

文学散歩はまた明日!

2015年9月13日日曜日

東北自動車道の謎

はい、この夏〜秋の旅行記シリーズ第三弾、9月2日〜5日の仙台帰省です。
春に義母の手術に立ち会って以来です。
今回は何ごともなく、お墓まいりと親戚まわりだけだったんですが。

しかし前回の帰省で知ってしまいました。
ゆるキャラ、そして謎ガチャガチャが展開される
高速道路の各サービスエリア探訪の奥深さを…

またもやってきました、佐野SA下り線!
考えたら負けです。本人だって「?」と、自分のことをわかってないのです。
普通のものが新鮮に見えてくる不思議。

今回は上様が敗れました。100円玉2枚投入してました。
戦利品はこちら。


「この商品はうさぎのかわいらしさを表現した想像上のものです。食べ物の横に本物のうさぎを並べる等の行為は絶対にしないでください。」

やる人がいるのか。そしてうさぎの健康を害したとか言って訴える人がいるのか。
なんてファンタスティックなぎすぎす現代社会万歳。

ツイッターでも紹介したネタですが、高速道路のSAでオフ会やる人がいたら見てみたいです。

さて、人工股関節手術後、半年経過した義母は杖つきながら元気に歩いてました。
これまたツイッターで紹介済みのネタですが、ニュースを見ながら

「侑子さん、危ないからインターネットで知り合った人と会ったりしちゃだめよ」

と真顔で言われました。
上様、ちゃんと話していなかったのですね。嫁と知り合ったのはネット上であることを。

断っておきますが、出会い系とかではありません。好きなゲームについて語ったり二次創作などを置いてある私のウェブサイトを見て、BBSに書き込みくれて、上様のサイトにもお邪魔したりしつつ、ゲーム以外でも歴史とか、生物とか、いろいろとやりとりし始めたのがきっかけです。
そのうちに話が盛り上がってメールでも話すようになり、実は近所に住んでいたことがわかり、も一人近所の友達も巻き込んでオフ会という流れになり、普通にオフラインの友達としての付き合いが一年少々に及んだ頃、いきなり何の前振りもなくですね。自分との結婚を考えてみてほしいなんてことを言われて胃がストップしましたわ。

人生何がどう転ぶかわからないものです。

さて脱線しましたが、帰途の登りSAです。
前回発見した深海魚寿司には及びませんね。
グソクムシの肢がシャリに抱きついている様がたまらない。

おかげで、ガチャガチャ販売機を見かけるとチェックせずにはいられなくなりましたが
高速のSAには他では見られない珍品が揃っています。
次回はどんな世界に出会えるのでしょうか。

2015年9月12日土曜日

SF大会「米魂」2日目雑感

順序が逆になってますが、1日目のことは

http://katyofugetsu.blogspot.jp/2015/08/sf1.html

にだらだら書いております。

交流タイムに登場したご当地ゆるキャラ。
しかし鳥取県最高のキャラは県知事だと思います。

さて2日目朝は「電子音楽とSF」という部屋に行ってきました。
レトロSF映画で使われた音楽や効果音に、世界初の電子楽器
「テルミン」が結構使われているということでした。
「のだめカンタービレ」で、謎少女ヤドヴィカが使っていたあれです。
そういえば「大人の科学」で買ってあったんでした。


今しがた取り出してきたんですが、カバーとキットだけで本誌が見つからず。
何せ発売当初、引っ越し前に買って放置でしたから、たぶん出てこないでしょう…
きっとどこかで組み立て方わかるはず!

会場では、レトロSF映画でテルミンが使われたシーンの紹介が続きます。
BGMはいいとして、「宇宙の音」とか「光線の音」など、イマジネーションをくすぐって爆笑させるさまざまな音を楽しみました。

お昼前から午後にかけて、本命の「SF創作講座」です。
昨年初めて聴講した時は「来年は自分も参加しよう!」と思ったんですが
昨年度以前の作品などをいろいろ読んで見送り、さらに今年度の作品や
前日の「ファンタジー茶話」でもやもやと感じていたことがはっきりしました。

以下再び乱筆乱文。

創作講座の参加者様方は、全員ではないけれどプロ志向の方が多いようです。
もちろんそうでなくても参加可能ですし、参加にあたってその旨を記載する項目もあります。
今回の参加で、自分のスタンスは「プロを目指してはいない」から
「プロには絶対なりたくない」に変わりました。

じゃあ何のために書いているのかというと、もちろん自分が楽しいから、という部分が大きいです。
それを読んでみたいという人がいれば大喜びでお見せします。
そのために、最低限、間違った言葉の使い方や見苦しい文章は直したいです。
伸び放題の樹木を剪定し、風や光の通りを良くするように。

でも、何年もかけて樹木を育てたことがある人は知っているように
(なんて人はそうそういないだろうと思いますが)
木が本当に伸ばしたい枝は、切っても切っても翌年生えてきます。
それを縄や針金で矯正したり、より多くの実が成るように
健康な枝を切り落としたり、流行の品種の枝を接ぎ木したり、
そういう書き方は自分にはまず無理です。

講座が終わってから、講師の先生と少々立ち話をさせてもらったのですが
プロ志向でない人にはちゃんとそういうスタンスで批評してくださるとのこと。
しかし参加者の多くが、教室の空気がプロ志向である以上(私はそのように感じました)
そこに毛色の違うのが入っていくのは先生方もやりにくいだろうな、とも思います。

あれから13日、あらためて自分の書きたいもの、想定する読者というものを考え直しました。
結局は「自分の書いたものを読みたいと言ってくれる人」というトートロジー。
この世に1万人に一人、もしくは1億人に一人、もしくは同じ時代には会えないかも知れない、私と似たような魂を持つ人の目に触れて、ああ自分は一人じゃないんだ、と思ってくれたらいい。
もし間に合って、私にそのことを伝えてくれたりしたら、夢みたいだなあと。

その欠片のようなものは、既にいくつか手にしてはいるのですけれど。
何か形に残せるようなものができるだろうか。

この先何年くらい生きるのか、そのうちどれくらいを書くことに使うのか、
考えるべきはまずそこなのかもしれません。

まとまらないままに閉会式。
星雲賞に暗黒星雲賞。
星雲賞漫画部門、「もやしもん」はSFだそうです。おめでとうございます。
(実は途中までしか読んでません)

暗黒星雲賞ときたらこのマントの御仁。
勢いで来年の「いせしまこん」の申し込みもしてきました。

この二日間で、食事らしい食事は2回しかしていないことは内緒ですよ!

2015年9月11日金曜日

My Homeland(2)

旅程を少し遡りまして、24日に富良野に向かったJRの沿線風景です。
とその前に、母曰く「その辺で拾ってきた枝」と
自作のドライフラワーで作ったスクリーン。
こういうの使ってウェブ素材とか壁紙作るセンスがあったらいいなあ。
挑戦してみようかな。

さて、最寄りの駅で4日間札幌−富良野−旭川間乗り降り放題の切符を買って
一旦札幌に出てから特急で滝川へ。

東滝川辺りの水田。品種はゆめぴりかでしょうか。

乗り換えまして富良野に向かいます。

野花南(のかなん)の駅。
地名の由来は知りません。
知ることは無上の快楽です。
しかも現代はなんでも検索一発で分かってしまう時代です。
それ故に、あえて知らないままにしておくという禁欲、それもまた贅沢…
なんてことをその時考えてたわけではなく、ああもう稲穂がこんなに垂れてるなあとか
蕎麦畑を見るのは久々だなあとか

(この辺りは蕎麦の産地でもあります。幌加内そば、聞いたことありませんか?)
ぼんやりと風景に見入っておりました。

農業に関わる職に就いていたこともあり、なんだか無性に広々とした農地が見たくなりました。関東の住宅地でも突然水田があったり果樹園に出くわしたりしますが、あんなミニチュアでは食べた気がしないのですよ。仙台までの高速沿いにも田畑はありますが、なんだか区画の取り方がちっちゃかったり、山だらけで風通しが悪そうだなあとか感じちゃって全然満足できないのですよ。

贅沢な、たっぷりとした空間に餓えていたことにこの時気がつきました。砂漠や宇宙空間じゃなくて、生きている空間。収穫が近づく畑。日差しの中でゆっくりと枯れながら、種子や地下茎に栄養を渡していく茎葉。防風林や農道で区切られた圃場の一枚一枚が違う色。圧迫感を与えるほど近くない、遠くに青く霞む山並み。

ということを母に叫んだら、じゃあ25日は美瑛に行こうという話になりました。

その前にカンパーナ六花亭。
http://www.rokkatei.co.jp/facilities/campana/

限定商品、長いものシフォンケーキもありましたが、賞味期限が短くお土産にはできませんでした。(買って帰ってすぐ食べました)
綿引幸造氏の写真ギャラリーもありました。
そして青天井の下に広がる生の風景。これ、これです。

ワイン用の葡萄は棚ではなくこういう形に作ります。

写真を撮ってる自分のシルエットが左下に写っています(笑)

駅前に戻り、美瑛行きの列車を待ちます。
朝食がたっぷりだったので、お昼は軽くパンケーキ。
ドラマは一度も見たことないのに「北の国から」記念館に行ってみたり。
「風のガーデン」も同名のドラマの撮影地だったそうですが、こちらも観てなくてすみません。

さて美瑛です。夏も終わりの平日だというのに、観光タクシー大人気。
20分待ちでやっと回ってきたところで、相乗りの申し出が。
名所を回るだけですし、半額になるしということで承諾。
上海から来たという中国人の若い女性二人連れでした。

だだっ広さで言ったら中国の方がはるかに上でしょうに、
なんでこんなところまで畑を見に来るのかなーと思いましたが
中国の農村地帯はきっと観光化されてなくて、ホテルもレストランもないんでしょうね。

はい畑です。ゆるくうねる丘の一つ一つに作物が育っています。




馬鈴薯、大豆、もう収穫済みの小麦、甜菜なんて本当に久しぶりに見たなあ。

右下のプラ箱は「ナガヤマ」と書いてあるようです。

今から散布しているあの白い粉はなんでしょう。石灰かなあ。
タクシーの運転手さんと農業話をしつつ、あっという間の1時間。
旭川までの乗り継ぎ列車にちょうどいいと思っていたら、この時期平日はおやすみでしたノロッコ号;;
駅舎でゆるゆる休憩し、1時間後に旭川行き普通列車。旭川からはL特急で札幌へ。
東急の「魚一心」でお寿司を食べて帰りました。ああ満足。