2016年9月16日金曜日

忘れた頃にやってくる

前の投稿と前後します。8月の帰省の話です。

この夏は間の悪い体調不良に悩まされました。まずは7月の日本SF大会「いせしまこん」に行けなかったこと。頑張ればどうにかなる程度だったんですが、今回は見知らぬ人と相部屋で寝泊まりする形式だったので、夜中に具合が悪くなって同室者に迷惑をかける可能性を鑑みて諦めました。来年はどうなるのかな、もう決まってるはずですが。

8月22〜28日、上様のアメリカ出張に合わせて帰省することになっていました。恒例の母との一泊旅行先を考えます。由仁、千歳空港ターミナルの温泉とホテル、小樽・余市、富良野・美瑛と、道央のめぼしいところはだいたい行きつくしました。春にこちらに来た母が疲れ気味だったので、遠くに行くのもなんだし、いっそ札幌市内でリッチなホテル宿泊を楽しむというのもありじゃないか?帰りが遅くなる夜の部のコンサートも気にせず楽しめますし。

ということで、ちょうど私の誕生日でもあります26日の夜に、札幌コンサートホールKitaraで札幌交響楽団の定期演奏会を聴いてそのまま近くのホテルに一泊というプランを考えました。ディナーはKitaraのテラスレストランで、すべて予約も済ませ完璧なはずだったんですが…

札幌交響楽団第592回定期演奏会

不測の事態その1、台風。
前夜から天気予報とにらめっこしていましたら、やはり欠航のお知らせメールが来ました。即座に翌日の同じ便に手数料なしで振り替えましたが、事前購入していた空港行きリムジンバスの乗車券1540円は諦め。問い合わせたところ、今回は特例として事後の払い戻しが可能とのことでした、京王バス。遠くの事務所まで行くのが面倒だったので結局捨てましたが。

23日の便は問題なく飛び、母とお寿司や中華などおいしいものを食べたり(それぞれ別の日です)。



庭を眺めたりしたんですが、熟したブルーベリーを狙ってスズメバチが来るとのこと。近くに巣があるようなのですがうかつに探すのは危険です。




そうして26日、不測の事態その2。
ひどい吐き気とその他いろいろの症状に見舞われました(食べたもののせいではないです)。
札幌観光どころではなく江別市の自宅から直接タクシーでホテル入り。近くの薬局で速効性の吐き気止めを購入し、効き目はありましたが、おいしかったはずのディナーは半分くらいしか食べられませんでした(涙)

せめてデザートだけは。


しかし演奏を聴いていたらどんどん気分が良くなり、終わる頃にはすっかり元気どころか過剰なまでのハイ状態に。行きとはうってかわって軽い足取りでホテルに戻り、感想をツイッターにしたため、早めに床についたまではよかったんです。

この感想、ツイッターまとめでも取り上げられました。
http://togetter.com/li/1017314

ホテルの窓からの夜景。創成川を望む21階のお部屋でした。


薬が切れた夜半から、吐き気が復活。2時間おきぐらいに嘔吐し、しまいにはなんか胃液に血が混じってたような(気のせいだと思いたいです)。母が気づかずにぐっすり眠っていてくれたのが幸いでした。

朝には少し治まりましたが、楽しみにしていた海の幸のガレットを頂ける朝食は諦め、母も一人で行きたくないとのことでパス。本当ごめん;;

近くのコンビニでおかゆとプリンを買って、またタクシーで直帰でした。

おかゆを食べて休んだところで、蜂屋さんに電話して来てもらいました。調べた結果うちの庭に巣はなく何件か先から来ているらしいとのこと。対策として、蜂が飛ばない暗いうちにブルーベリーを摘み取ってしまうこと、というアドバイスだけで5600円。まあ、遠くから来てもらっているのですし仕方ないですね。その後はハチは来ていないようです。

今年リニューアルした北海道大学総合博物館(旧理学部本館、私も通った建物)に行きたかったんですが、それは9月に持ち越されるのでした…(続く)

2016年9月8日木曜日

羽州街道

仙台の義実家にお墓参りに行きました。
うちはお盆とかお彼岸とか気にしないのです。むしろ外します。混むのが嫌なので。
そのついでの白石市巡りです。


「麦の季」の蔵王かもつけうどん。
元競輪選手のご亭主の手打ちのもちもちの麺に、いりこ出汁に焼き葱が甘いつけ汁。
また行きたいものです。


さて車は山間の集落へ。
このあたりは猿や猪が出没するそうです。
「熊に注意」の看板もありました。



珍しいらしいヒダリマキガヤの木。


路上で力尽きていたチョウ。



明治に建てられて、今も人が住んでいる住宅の茅葺屋根を中から見上げたところ。
昔は蚕も飼っていたという部屋もありました。


萬蔵稲荷神社。私は行きませんでしたが、上まで行くとちゃんと神社と、宮司さんの家があるそうです。


そりゃ犬を連れてったらお狐様が怒りますよね。


それより鳥居に生えていたきのこが気になります。これ一つだけ。
草の茎でつついてみた感触はぷりぷりして固めでした。


林間の草地は、ほんの十年ほど前は田んぼだったそうです。



奥の方に色づいた田んぼが残っています。


震災の後廃業してしまったという民宿の跡(人は住んでいるようです)



小坂峠からのこの眺望が見放題の民宿、かつては人気だったそうです。


錆びた望遠鏡。



古い北海道民が、本州・四国・九州を指して「内地」と呼ぶことがあります。
生まれも育ちも、祖父母の代から道産子の私が内地に来ると、
「ここは日本なんだなあ」と感じることがよくあります。

たとえば動植物相。
真冬に葉を茂らせる照葉樹、柿が成る民家の庭や真冬に花をつける椿の生垣。
車で初めて野生の猿を見た山。

「ここは日本むかし話の舞台なんだなあ」とも表現できます。
猿が木に登って蟹に柿の実をぶつけたり、きびだんごで従者になったりする世界、
幼い私にとっては魔法使いと同じようにファンタジーだった世界、
それが今目にしている「日本」なんです。

「ここは日本史の舞台なんだなあ」というのもあります。
大名行列が通った街道。
千年以上前から稲を作り、田を家を守り続けてきた人たちの子孫が住んでいる土地。

私が生まれ育った土地は、百数十年前には町なんかなかった、
森や山やただの海岸線だった場所ですからね。
私はその血を継いではいませんが、語り聞かされた物語の中では
けものたちは皆神(カムイ)で、とりわけ尊い村の守り神
シマフクロウ(コタンクルカムイ)を射る矢はことさらに美しく誂えられ、
カムイは最も美しい矢を求めて射られるのだとか。
一方で、教会付属の幼稚園で福音書を聞いて育ったりもしているわけですが。

お寺が多いなあ、とか、そういえば北海道ではほとんどお寺でしか見ない
瓦屋根が普通に住宅で使われているなあとか。
仏壇とか、古い地名とか、道端のお地蔵さんとか。

本やテレビの中でしか見たことのない「日本」を目の当たりにするたびに
自分は日本人ではなく北海道人なのだと再認識します。

気候や人と人との距離感、北海道はどちらもドライです。
花冷えの京都で雨に降られて風邪をひいて帰ってきた千歳空港で、
気温は氷点下で雪がちらついていたにもかかわらず
雨の京都より暖かいと感じました。

雪は雨より暖かい、ひとの体温を奪わないのです。
いつか小説か二次創作で使いたいネタです。氷属性の人を表現するのに。

盛大に脱線しました。
最後に、近辺の集落とお祭りのポスターなど。
ザ・地元って感じがしますねー。